コラム

猫🐱の慢性腎臓病(腎不全)とは?

「最近お水をよく飲むようになった」「おしっこの量が増えた」「年齢のせいか痩せてきた」――そんな変化はありませんか?猫の慢性腎臓病(CKD)は高齢猫で非常に多くみられる病気です。残念ながら一度失われた腎機能は元に戻りませんが、早期発見と適切な治療によって進行を遅らせ、快適な生活を長く維持できる可能性があります。今回は猫の慢性腎臓病について分かりやすく解説します。

猫の慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)は、数か月から数年かけてゆっくりと腎臓の働きが低下していく病気です。以前は「慢性腎不全」と呼ばれていましたが、現在では「慢性腎臓病(CKD)」という名称が一般的になっています。

15歳以上の猫では半数以上に腎機能の低下がみられるともいわれており、高齢猫では特に注意が必要です。

腎臓の役割

腎臓は腰のあたりに左右1つずつある臓器で、生命維持に欠かせないさまざまな働きを担っています。

  • 老廃物を尿として排泄する
  • 体内の水分量を調節する
  • 電解質(ナトリウム・カリウムなど)のバランスを保つ
  • 血圧を調整する
  • 赤血球を作るホルモンを分泌する
  • ビタミンDを活性化し骨の健康を保つ

腎臓は非常に働き者ですが、一度失われた機能はほとんど回復しないため、早期発見が重要です。

なぜ慢性腎臓病になるの?

原因がはっきりしないことも多いですが、加齢が最も大きな要因と考えられています。そのほかにも次のような病気が関係することがあります。

  • 腎炎
  • 尿路感染症
  • 高血圧
  • 甲状腺機能亢進症
  • 尿路結石
  • 急性腎障害の後遺症
  • 遺伝的要因

どんな症状が現れる?

初期症状

  • 水を飲む量が増える
  • 尿量が増える
  • 寝ている時間が増える
  • 毛づやが悪くなる

これらは「年齢のせい」と見過ごされやすいため注意が必要です。

進行すると

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 筋肉量の低下
  • 脱水
  • 嘔吐
  • 口臭
  • 元気消失

さらに進行すると、貧血・高血圧・失明・けいれんなど重篤な症状が現れることがあります。

診断方法

検査確認する内容
血液検査BUN・クレアチニン・SDMA・リン・カリウムなど
尿検査尿比重・尿タンパク・尿沈渣など
血圧測定高血圧の有無
超音波検査腎臓の形・大きさ・結石・腫瘍など

SDMAはクレアチニンよりも早い段階で異常が見つかることがあり、早期発見に役立つ検査項目です。

IRISステージ分類

ステージ特徴
ステージ1腎機能低下はあるが症状はほぼない
ステージ2飲水量や尿量が増えることがある
ステージ3食欲低下や体重減少が目立つ
ステージ4尿毒症症状が現れやすい

治療について

  1. 腎臓療法食への切り替え
  2. 脱水対策(飲水環境の改善・ウェットフード・皮下補液)
  3. リン吸着剤によるリン管理
  4. 高血圧や貧血など合併症の治療
  5. 制吐剤・食欲増進剤など症状に合わせた治療

慢性腎臓病は完治を目指す病気ではなく、「進行を遅らせて生活の質を維持すること」が治療の目標になります。

新しい治療法への期待

現在、AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)というタンパク質に着目した新しい治療法の研究が進められています。

まだ一般診療で広く利用できる段階ではありませんが、将来的な猫の慢性腎臓病治療として大きな期待が寄せられています。

獣医師
「最近よく水を飲むようになった」「痩せてきた」など、小さな変化でも遠慮なくご相談ください。早期発見が何より大切です。

よくある質問

慢性腎臓病は治りますか?

一度低下した腎機能を元に戻すことはできませんが、適切な治療によって進行を遅らせ、長く良好な生活を送れる場合があります。

何歳頃から健康診断を受けるべきですか?

7歳頃からは年に1~2回の健康診断と血液・尿検査をおすすめしています。

この記事のまとめ

  • 猫の慢性腎臓病は高齢猫に非常に多い病気です。
  • 早期発見には定期的な血液検査・尿検査が重要です。
  • 療法食や適切な治療によって進行を遅らせられる可能性があります。

気になる症状はありませんか?

「最近よく水を飲む」「痩せてきた」など気になる変化がありましたら、お気軽にご相談ください。

監修した獣医師
Veterinarian / 獣医師
獣医師 萩野 純子

北里大学卒・地域のホームドクターとして、犬・猫の予防医療から内科・外科診療まで幅広く診療しています。

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